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団塊の「フェス」~歌い続けること~

 2017-05-07


先日、あるコンサートに行ってきた。

タイトルは「夢のスター歌謡祭」

小林旭さんを筆頭に、1960年代~80年代の日本の歌謡界を賑わせた、
いわゆる「往年のスター歌手」が多く出演する「夢コンサート」のパッケージのひとつだ。

主な顧客は、団塊の世代とその前後。
高度成長期に、青春を過ごした世代だ。

あの頃、テレビでしか見ることができなかったスター歌手が、
しかも大勢セットでコンサートをやるのだから、
悠々世代の皆さんは、こぞって会場に行く。

そんなコンサートが沖縄で行われるということで、
世代的にはかなり下だが、社会見学のひとつと思って行って来た。

ひとつのきっかけは、15年ほど前にお仕事でお世話になり、
以来、プライベートでも仲良くさせていただいている、
桑江知子さんが出演なさると聴いていたからだ。

ちなみに、私の「音楽」の入り口は海援隊なので、
音楽の嗜好的にはドストライクである。

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会場は、沖縄市民会館。

つめかけている観客は、やはり、私より10歳程度以上の年齢層の皆さんばかりだ。

夢コンサートは、少々特殊なコンサートだ。
まず、運営している会社「夢グループ」は、もともと芸能関係の会社ではなく、
通信販売の会社だ。

出演者の組み合わせによっていくつかのパッケージが組まれていて、
それらを、独自のルートでチケット販売をしている。
チケット販売のフライヤーや、購入画面のフォーマットも、
我々(Jポップ世代)がよく知るコンサートチケットの販売形式ではなく、
電化製品や宝石類と同じような販売形式で行われている。
つまり、通信販売のノウハウをそのままコンサートに活かしているのである。

ちなみに、夢グループ社長の名前は石田重廣さんという方で、
ネット検索をしてもあまり素性が出てこない方なので、
某大手プロダクション社長のように、姿を隠しているのかと思っていたら…

KIMG1352.jpg 

開演前、スクリーンで物販案内をしていた。

しかも…
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なんと会場内で、社長自らパンフレット付きのペンライトを売り歩いていた。


今回の出演は…コチラの面々。
夢のスター歌謡祭 
山本リンダさん、ロザンナさん、ビリー・バンバン、平浩二さん、チェリッシュ、葛城ユキさん、狩人、桑江知子さん、石井明美さん、おりも政夫さん、保科有里さん、という団塊世代が大喜びするメンツに加え、熟女が悲鳴をあげる韓流を代表してZEROさんが登場、というキャスティングだった。

全員勢ぞろいのオープニングを終え、本編に突入。
1部は各アーティストが2曲ずつ次々と歌っていく形式。
まさに、当時の歌番組をそのままステージでやっている雰囲気で進行していった。

ヒデさんの代わりにロザンナさんのパートナーを務めたのは、
狩人の弟・高道さん。

チェリッシュのお二人は、熟年夫婦あるあるをネタにトークを進めながら、
「てんとう虫のサンバ」「白いギター」を披露していた。

司会も務めたおりも政夫さんは、オールスター水泳大会(ドキッ!まるごと水着!よりも前)の司会でおなじみ。ゴムベルトでのパフォーマンスも健在に、所属していたフォーリーブスのヒット曲「♪ニッチもサッチもどうにもブルドッグ」を歌った。

葛城ユキさんの生ボヘミアンは迫力満点。
あのビジュアルからの想像ができない、かなり丁寧な話しぶりでのトークが印象的だった。

トリを飾ったのは、「白いブランコ」でおなじみ、ビリー・バンバン。
3年ほど前に、兄の菅原孝さんが脳出血で倒れ、リハビリを経て活動を再開なさったが、
後遺症が残る中での出演。
車椅子に乗り半身に麻痺が残る中ではあったが、ゆっくりと大きな声でトークを展開、
歌もしっかり歌っていた姿は、歌い手としての決意と執念のようなものを感じた。

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今回、観覧して思ったこと。

夢グループが主催するコンサートは、
団塊前後の世代にとっての「フェス」なんだな、ということ。

近年の音楽業界では、様々なバンド・アーティストが出演する「フェス」が主流となりつつあるが、
この夢コンサートはその「ご年輩バージョン」なのだ。

そして、出演していた歌手の皆さんの、歌に対する「想い」と「熱意」と「執着」を感じた。
歌唱力を保つ、パフォーマンス力を保つ、特に、歌い続ける環境を持ち続けることは、
並大抵のことではない。

ちなみに、会場ロビーでは、なんと出演歌手本人による物販が行われる。
若いアーティストやバンド・アイドルのライブで、終了後に本人による物販が行われることはよくあるが、ベテラン歌手の皆さんが、コンサート後に観客と直接触れ合う機会があるというのは、これまでにはほとんどなかった。
お得と言えばお得なのだが、少し平たい目で見ると、そういう機会を作らないとCDはもちろん物が売れない時代、歌手側も努力しているんだなと感じた。

私が60歳になった時、
今、日本の音楽業界を彩る歌手・ミュージシャンの中で、どれくらいの面子が
生き残っているのだろうか。




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